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Vol.22 知らない国への海外旅行グセは日本にいる時も忙しい、だから立派なアンチエイジングである。

今、ちょっと悲しいことに、世界各国から日本に飛んでいる直行便が、次々なくなる方向にあると言う。

ご存知の通り、今や世界的な日本ブームで、世界中から旅行者が日本に殺到していることは確か。でもそれ以上に、日本から海外に行く人が減り、これまでの直行便が、代わりに旅行者が増えた中国や韓国への便に切り替わっているというのだ。

確かに、今の日本の若者は海外旅行にあまり関心がない。
70年代80年代、日本人は大挙して海外に出かけていて、どこに行っても日本人だらけ、そういう時代が本当にあったのだ。

だからそれは、1つの成熟ではあるのだろう。
外国へのコンプレックスがなくなった分、日本人としてのナショナリティーが確立したことの表れでもあるのだから。

でも、海外旅行への興味を失ってしまうって、それ自体はとても残念なこと。旅はこれからの人生の質を劇的に高めて、人の命を輝かせる大きな決めてだからである。

海外旅行ばかりしている友人が何人かいる。
彼女たちに見事に共通しているのは、いつも生き生きしていて、恐ろしく若いこと。

生きていく悩みなど、何一つないよう。いやきっと何もないのだ。
次の旅のことばかり考えているのだから。

ある人は女友達と、ある人はご夫婦で、またある人は、基本的に一人旅と様々だけれど、彼女たちはまさに申し合わせたように口をそろえるのだ。
「次に行く国の下調べと、簡単なコミニケーションを取る勉強、それだけで本当に忙しくって」と。

事実、ご夫婦で旅すると言う友人は、約2週間の旅を年6回。
1年の4分の1は旅行をしているが、あとの4分の3はその準備。

旅費を捻出するために、日本にいる時はちゃんと節約もするし、4分の3といっても、入念な準備に明け暮れるから、とても忙しい。
それは、旅先で1分1秒も無駄にしないために不可欠なことなのだと言う。

どちらも60代で、ひょっとして70代になったらそれほど自由に動けなくなるかもしれないし、今動かなければ70代も動けなくなる。
今動いていることが人生を最大限楽しむトレーニングなのだと言う。

だから無理しても、今は延々と歩かなければいけない旅に出かける。
ウォーキングシューズを持って。

でもちゃんと高いハイヒールも持って行き、夜はきちんとしたレストランでディナーを取るのがテーマ。つまり、その国その国で、どの程度のドレスアップが美しいのか、そこまでをきちんと調べておくわけだ。

だから旅行中はもちろん、日本にいる時も充実する。
それが何よりのアンチエイジングだと、彼女たちは口を揃えるのだ。

鍵は毎回、知らない国に行くこと。
だから新しい発見を山ほどさせられる。
命がそのたびに新しくなる実感があると言う。

行けば行くほど、もっともっとたくさん行きたくなる。
行けば行くほど、もっともっと知らないことがたくさんあることに気づかされる。
だから「歳をとってなんていられない」と思う、それ以上のアンチエイジングってあるだろうか?

さあ、もっと旅に出て欲しい。
知らない国にもっと興味を持ってほしい。
それが素晴らしい長生きにつながるのだから。
 
齋藤 薫 [美容ジャーナリスト]

女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。