【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.55 グレイヘアに疲れてしまった人へ。思い思いの髪色へ、それもエイジングケア!

2024.07.16

【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.55 グレイヘアに疲れてしまった人へ。思い思いの髪色へ、それもエイジングケア!

数年前から、グレイヘアがかつてないトレンドとなっていた。

  髪色をもう染めない。白髪を白髪のまま生かす提案は、一時ものすごい勢いで浸透していったはずだ。

  でも何となくだけれども、少しその勢いが弱まっているような気がしている。

  以前ほど、これを特集する雑誌は多くないし、なにも無理してグレイにしなくても……という論調の記事もちらほら見つかるようになった。

  一体なぜ?それは実際挑んでみると、なかなかに大変だったりするから。

  ①美しいグレイになるまで、それなりの時間がかかる。

  ②グレイヘアにしてしまうと、ヘアスタイリングやメイクに決して手を抜けない。

  ③そしてやっぱり老けて見える……。家族の賛同を得られなかったという声もあるくらい。

  もちろん、美しいグレイヘアで有名な人たちは、圧倒的にかっこいいし洗練されている。 グレイヘアの価値は疑いようがない。ハッとするほどの存在感と、他のことでは置き換えのきかない品格が醸し出される。男性のグレイヘアを思い浮かべればわかるはず。

  “初老の紳士”もまたいわゆる“イケオジ”も、基本的に黒髪ではなくグレイヘアである。だからこの素晴らしいトレンドを否定する気はさらさらないのだ。

  ただ、疲れてしまった人がいるのは確か。ここで言うグレイヘアと、ただの白髪混じりの髪は全く別ものであり、グレイヘアはある意味完璧でなければならない。

  髪質はもちろんだけれど、髪型も言ってみれば普通の髪型ではいけない。いわゆるモードヘアでないと、立派なグレイヘアにはならないのだ。

  当然のことながらメイクもしっかり、オシャレもしっかり。いやそもそもファッションがモードっぽくないと、普通になってしまう危険があるからそれとわかるようなオシャレをしなければいけない。 和服は相性が悪くないが、それも、非日常的な装いでないとグレイヘアがただの白髪に見えてしまう証。

  さらに言うならば、3番目の理由もここに深く関係してくるが、“やっぱり老けて見える”としたら、その原因も、全体にオシャレ感が足りないから。

  本当に洗練されたスタイリッシュなオシャレができる人は、周りにその人が何歳かなんて考えさせないほど強いインパクトを放っている。

  そうすれば老けて見えるなどというネガティブは生まれないはずなのだ。どちらにせよ相当の覚悟で挑まなければいけない髪色だと言うこと。

  そこで新たな提案!グレイヘアは難しくても、最近の流行である亜麻色やグリーンみを帯びたアッシュ系、それこそハリウッド女優のようなブロンドにしてしまうのはどうだろう。

  グレイヘアでは疲れて見えた人が、逆にそうした華やかな髪色を選ぶことで、それ自体がエイジングケアになることに気づいてほしいのだ。

  また髪色自体が攻めのオシャレに見えるから、グレイヘアでは相当に頑張らなければならなかったオシャレも、髪色に頼ってしまえる。

  逆に言えば、今髪の色は何色でもいい時代、名門女子校の生徒や一流企業のOLが金髪であってもオーケーの時代。

  黒髪にこだわることもなければグレイヘアにこだわることもない。どんどんいろんな色に挑んでしまえる。

  だからきっと新たな自分が見つかる。おそらく髪色は何色でもいいと気づいた途端、オシャレがとてつもなく楽しくなるはずだ。

  それこそがエイジングケアと言っていいほどに。

  • 齋藤薫 / saito kaoru

    美容ジャーナリスト。
    女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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