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Vol.38 ワーグナーに身も心も浸っているマダムは、歳をとらない?!

夢中になれるものがあるのは、人生充実のカギ………誰でも知っていることである。

でもそれ以上に、”夢中になれること”は、アンチエイジングの最大の鍵かもしれない。
とりわけ文化芸術に関わる夢中は、若返りに直接つながる。
なぜならば、程度の差こそあれ、それは大変なエネルギーを要し、最大級に気力体力のいることだから。

韓流ドラマを家で1日中で見ているという夢中は、この限りではないけれど、歌舞伎にオペラのような劇場系芸術は、どれも本気になると本来は”受け身”であるはずの観劇が、極めて能動的なものとなり、最大級のエネルギーを要するものとなるのだ。

単純に、歌舞伎は、約4時間。
途中、休憩は入るものの、食事のために席を取るのも、トイレの行列に並ぶのも、それはそれで体力の要ること。
もっと言うなら、4時間近くを決して快適ではない座席に身を置いているだけでもやはり結構なエネルギー。

オペラも同様で、演目がワーグナーなどになると、平気で5時間を超えたりする。
言葉がわかっても歌詞は難解、舞台上の動きもあまりなく、となれば当然睡魔が襲ってきたりするから、すべてをちゃんと起きてみているだけで相当な気力体力。
特にワーグナーは他のオペラと違って、途中聴かせどころのアリアなどが差し込まれることもなく、その都度拍手をするようなこともない訳で、延々と切れ目なく続く。
だから、いくら音楽が美しくても、やはりずっと集中し続けるのは、ある種生命力がなければ無理なのだ。

ドイツのパイロットには、ワーグナーの楽劇を上演するためだけに建てられた祝祭劇場がある。
夏に開催されるパイロット音楽祭の間だけしか使われないことでも有名だが、それだけに世界中からファンが集まりチケットは非常に入手しにくい。
ただこの劇場はオペラ上映にふさわしい作りや音響そのものにこだわったため、観客席の椅子は小さく、何とクッションのない硬い木造り。
もちろん冷房もない環境だから、観客にとっては苦行そのものとなる。しかも前述したようにワーグナーの演目はみな長く、4時間5時間が一般的。

ところがその苦行に集まる着飾った紳士淑女たちは、事もなげにそこで目をランランとさせながら背筋をまっすぐ伸ばして4時間5時間を高尚な音楽に浸り切るのだ。
そこに集うのは60代以上のマダムも多いが、彼らは本当に生き生きキラキラしている。
ワーグナーファンであること自体、とんでもない若さの証なのだ。内容も哲学的だけにワーグナー好きは、知的レベルも皆高い。

だから改めて感じたの、ある程度年齢を重ねると、気力体力と知力は比例するということ。
文化芸術に夢中になることそれ自体が知力であり、またその知力を満たすためには気力体力が絶対不可欠になってくる。
だからこそ趣味を持ち、芸術に没頭することは、最強のエイジングケア。
特にオペラや歌舞伎には、ドレスアップしていくのが基本だからこそ、そういう意味でも新たな自分磨きにつながり、若さ美しさを保つ上で、実に良いことずくめなのである。

人間が子供の頃から知性を磨くのは、「将来文化芸術に親しんで、生涯心を隙にしないため」とも言われている。
そうやって培った知的欲求をしっかりと満たすために足腰を鍛え、細胞エネルギーを高めて気力を鍛え、4時間5時間の講演に耐えられる自分を作ろう。
それは究極のアンチエイジングに違いないから。
齋藤 薫 [美容ジャーナリスト]

女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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