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齋藤 薫の老けない人。老けない話。

Vol30 誰のために美しくなるの? 愛する人の目に美しく映るためと 考えるフランス女が眩しい

久しぶりに表舞台に登場したカトリーヌ・ドヌーブは、今年で75歳。
さすがにちょっとでっぷりとした印象にも見えるけれど、女っぽくゴージャスな佇まいは健在だ。

しかも、今回は世界中を騒がせているセクハラ告発騒動に対する反論で、
ジャーナリストや作家、学者など、フランス人の女性文化人100名の連名で、
今のようなセクハラ糾弾はちょっと行き過ぎ、
"男性の口説く権利"を奪うことにならないかとメッセージ。

暗に、「口説かれてこそ女」と訴えているようで、このフランスを代表する女優が、
"現役の女であること"、今なお魅力ある女性を代表する存在であることを、改めて思い知らせた。

かつてエマニエル・ベアールが、「女はのべつまくなし美しくなくたって構わない。
愛する男の目に最も美しく映っていることが女の使命だから」と、
何かのインタビュー記事で語っていたことを、ふと思い出した。

自分が美しくあること自体よりも、男の目に美しく映ることの方が大切……
フランス女性はやっぱり〝愛されること〟が最優先されることを、印象づけたもの。
自己満足の美しさでは意味がない。

女として異性に見つめられ、魅了する美しさでなければ意味がないと。
でもだから、フランス女は何だか艶っぽいのだとも思い知った。

今、美しく若くあるのはあくまでも自分自身のため。
自分を勇気づけるため……そういう考え方が主流になっている。
誰の目を意識するものでもない、鏡の中の自分の美しさに自信と元気を得て、
前向きに生きるためのエネルギーとすること、それが美しくなることの一番の目的であると。

もちろんこれは、とても正しい。生命力そのものに変わる美しさは、本当にかけがえのないもの。
だけれど、美しさは本来移ろいやすいもの。

すぐ歯止めがきかなくなったり、基準を見失って、あらぬ所へ向かって行きがち。
自分のためだけの美しさは、裏を返せば、独りよがりのものになってしまいがちだ。
美しさには、やっぱり客観性が不可欠で、自分を見ていてくれる人が必要なのではないかと思う。

つまり、"誰の目も意識しない"は、やはり危険。
人目を意識してこそ美しさは自ずとバランスが取れ、研ぎ澄まされてく。

玄関を一歩出たら、どんな人の目をもぐるりと意識することもまた、
美しく若くいるための絶対のルールなのだ。
いや厳密に言うなら、「玄関を一歩出たら」というのも、間違い。

ある50代の主婦の証言……若返りの施術を受けるたびに、夫が優しくなる。
おそらく何も気づいてはいないはずだけれど、明らかに態度が変わる。
ちゃんと女性を見る目になると……。

そういう変化に夫はまるで関心がないと思っていたけれど、全くそんな事はなかったと。
だからこちらも逆に夫を男として改めて意識し、
もっとキレイにならなきゃと思うようになったと言うのだ。

妻がキレイになると、夫の扱いが変わる……
男って、そういう意味でとても単純にできているのである。

だからこそ、まずは夫の目を意識すること。身近な人の目を意識すること。

美しさが自分だけを満足させるものに留まっていては、つまらない。
愛する人の目に美しく映し出されてこそ、色香が溢れ出す。
それに改めて気づかせてくれたのが、セクハラ騒動だったことは、ちょっと皮肉だけれども……。
齋藤 薫 [美容ジャーナリスト]

女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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